たんぼのカステラと
秋田の豪雨災害
ごあいさつ
秋田県の五城目町で「ポコポコキッチン」という会員制のカフェを運営している石丸と申します。
2023年7月、秋田県で大雨による大規模な水害が発生しました。
ボランティアの方も多数駆けつけてくださり、全国各地から支援物資等もたくさん送っていただきました。
本当にありがとうございます。
自分たちにできることを少しづつでもカタチに!ということで、ご支援頂いたお米で作った【たんぼのカステラ】をリリースすることになりました。 共感・賛同していただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします!
2023年7月 秋田県豪雨災害
令和5年7月14日からの秋田県内各地での記録的な大雨で、
私たちが暮らす五城目町も大きな被害を受けました。
約500棟の床上浸水があり、浄水場まで浸水してしまったことで水の供給が止まり、町の9割の家屋が1週間以上も断水。
また車への浸水により命を落とされた方や、水害をきっかけに閉店してしまった店舗、汚泥で家が住める状態ではなくなり引っ越しを余儀なくされた方も数多くいます。
水害から2ヶ月が経とうとしており、ぱっと見の家屋・住居の被害は落ち着いてきたように見えますが、実はまだまだ修繕が必要だったりします。
また、ようやくたんぼや畑、非住居施設などに手が回ってきたフェーズなのではないかと個人的には感じています。
私たちポコポコキッチンのこと
私たちの運営するポコポコキッチンは水害が発生した当初、たまたま断水の被害がなかったため、急遽全国から支援物資を送っていただき、連日おにぎりやお弁当などを作って配布しました。
また、復旧作業に追われて子どもの面倒を見る時間がとりにくい親御さんに対して、NPO法人カタリバさんたちとともに、子どもたちの居場所としてお店を開放。
ただ料理を提供するでけでなく、子どもたちと一緒に料理を作ることで、食べる喜びや、作る喜びを感じてもらえるよう動いてきました。
全国から続々と送られてくる貴重な支援物資
連日炊き出しを行うなかで、気がかりな点がありました。それは全国から送られてくる想いのこもった食材について、食べてくれる人に説明しきれないということです。
お肉もお魚も、お野菜もお米も、油もふりかけも、容器でさえも。
愛を持った方々が即座に送ってくれました。
本当にありがたい。
でも僕はそれを被災した方に対して上手にリレーできているのだろうか...
という疑問が頭にこびりついて離れないのです。
手を合わせてしまうほど「ありがたや!ありがたや!」と言ってくれるので、きっと誰かのためにはなったはず…。
なのですが「もっと良い届け方や伝え方があるんじゃないか…」と考え込んでしまったのです。
手分けして仲間がいろんな場所に届けてくれているのですが、一軒一軒、ひとりひとりに「これはどこのお米で、これは誰々さんが送ってくれた豚肉だよ。こっちのトマトは…」とかもちろんやってられない。
それは理解しているのですが、せっかく送ってくれた方の想いも届けたい…。
毎日のようにトラック何台分も送られてくる食材や容器や物資に埋もれながら、体が動く限りひたすら調理をし続けました。
たくさんの仲間達が支えてくれたこともあって正直「支援してるのか支援されてるのか分からない状態」になっていましたが、この貴重な経験と食材を「ただ消費する」のはもったいないと考えていました。
この経験を忘れないように、無駄にしないように、そして今後も続けていく意味のあるものに昇華するためにはどうしたら良いか。
そこでひらめいたのが全国から送られてきた自慢のお米を使わせてもらって作る「田んぼのカステラ」です。
実はもともと地元の農家さんのお米を製菓用の米粉に加工して、カステラを作ってお土産にする計画があり、あと少しでクラウドファンディングがスタートできるぞ!というタイミングで豪雨災害が起きてしまったのです。
おこめブラザーズ
僕たちはこの米粉のカステラを、今回の豪雨災害で頂いた支援米を使って作ることに決めました。
支援米を使った「田んぼのカステラ」は初回のロット製造分でしか購入できません。
支援米の米粉が終了した後は、五城目産(館越地区の本間さんが育てた)あきたこまちを使って製造していく予定です。
当たり前の日常は、当たり前じゃない
もともとこのカステラは「五城目町の日常の風景を味わってもらいたい」という願いからスタートしています。
五城目の人々が愛する小さな山と綺麗な川、その水を贅沢に使った穏やかな田んぼ。
ずーっと草刈りをしてるじいちゃん、畑仕事に精を出すばあちゃん、あぜ道でカエルを捕まえる子どもたち、カフェで談笑する友人知人。
地元で生まれ育った五城目の人々は「なんにもねぇところだからなぁ...」というけれど、この町にはたくさんの素敵なモノやコトが溢れています。
そんな「あたりまえの日常」をこのカステラで表現したかったのです。
そんな愛すべき自然も、時には人々の脅威となり、穏やかな日常がいかに大切なものだったのかを痛感させられました。
今となってはすんなりとカステラをリリースできなくて本当に良かったとさえ思っています。
もう箱のデザインもできてしまっていたので仕方ないのだけれど、当たり前にお米が収穫できると思っていた自分が恥ずかしい。
すべてのことは当たり前じゃないんですね。
今回の災害を受けて「やっぱり私はここが好き」というセリフが、より一層重みを増した気がします。
金色の田んぼを表現すべく、カステラの黄色の面が上に来るように。
そして、たんぼの「田」の字になるようにキューブ状のカステラを並べてあります。
(ちょっとサンプルのカステラが白っぽいのですが、実際にお届けするものは黄色い仕上がりになる予定です)
あぜ道にも日常が描かれているし、側面にも、底にも裏にも。
ちゃんと見渡せば、私たちの周りには色んなところに愛すべき風景が流れているのです。
ただ「米粉で作ったカステラです」というだけじゃない。
ただ特産物を使ってお土産を作ればいいわけじゃない。
僕たちは「どれだけメッセージを込められるか」を大切にしたいと思っています。それが少しでも伝わってくれたら幸いです。
売上を「TEGARI FES」の経費に充てさせてください!
今回の水害によって多くの田畑に泥や石、流木などが上がってしまいコンバインが入れない状況になっています。少しでも被災された農家さんの力になれたらいいなーということで「TEGARI FES」なるものを開催することにしました。
善意の寄せ集めで開催されるのですが、なんだかんだいって結構な経費が掛かります。最初は売上の何%かを五城目町に寄付しようと考えていたのですが、TEGARI FESが思ったより経費かかっちゃう事が判明したので、こちらに回させてください。
手刈りボランティアの方もまだまだ募集しております。詳しくは下記のHPをご覧ください。